GMPLSにおけるトラヒックエンジニアリング

ブロードバンド通信サービスの飛躍的な伸びにより,ネットワークにおけるトラヒックの増加や変動を正確に予測することが困難になってきており,ネットワーク資源を有効的に利用するトラヒックエンジニアリングの研究開発が進められている.トラヒックエンジニアリング(TE:Traffic Engineering)とは,ネットワーク資源の使用状況とトラヒックパフォーマンスを同時に最適化し,効率良く,信頼性のあるネットワークオペレーションを促進するためにデータトラヒックのためにパスを選択するプロセスのことである.トラヒックエンジニアリングでは,最適化の指針として,パケットロスおよび通信遅延の最小化,スループットの最大化などの実施を行うことを目的としたトラヒック指向型とネットワーク資源の利用率を最適化することを目的とする資源指向型がある.2つに共通する性能目標は,ネットワーク内の輻輳を最小限に抑えることである.輻輳を最低限に抑えることができれば,パケットロスおよび通信遅延は減少し,スループットの向上を達成することができる.その結果,ユーザレベルでの通信品質は飛躍的に向上することになる.トラヒックエンジニアリングを実現するためには,発生するトラヒックに対して,ネットワークの状態を考慮した資源の割り当てを実施する必要がある.トラヒックエンジニアリングを実施する際には,資源の監視,トラヒック特性の分析,トラヒックのモデル化及びトラヒックの制御のそれぞれを行う.以上の4項目を正確に行うことで高度なトラヒックエンジニアリングを実現可能となる.