HOLST

情報通信技術の進展により私たちの生活は様々な面で便利になりました。しかし IoT(Internet of Things)の普及やクラウドサービスの拡大により、情報通信機器を集約してデータを監視・運用・管理を行うデータセンターで処理するトラヒック量が爆発的に増加しています。急増するトラヒック量に伴う消費電力増加が問題視されている中、山中研究室では消費電力の小さい光回線を効率よく導入して、環境にやさしいデータセンターネットワークを目指す取り組みが開始されました。この取り組みはHOLST(High-speed Optical Layer 1 Switching system for Time slot switching based optical data center network)プロジェクトと呼ばれており, 企業の方からもご協力を得て進められています。

この図はデータセンターネットワークHOLSTの概要を示しています。HOLSTには大きな特徴が3つあります。1つ目は電気ネットワークと光ネットワークのハイブリッド構造であることです。光ネットワークを部分的に効率よく導入することで実現可能性が高いアーキテクチャとなっています。2つ目は光ネットワークにおいて従来利用されていたMEMS光スイッチだけでなく、PLZT光スイッチを導入していることです。PLZT光スイッチはnsオーダーで切替可能といった切替速度の超高速性により、多重化された通信が可能です。例えば1Gbpsの通信が個別に8個発生したとします。従来は10Gbpsのリンクがあっても8本のリンクが必要でしたが、PLZT光スイッチを利用することで8個の通信を多重化して1つのリンクで通信が行えるようになります。このように効率よく消費電力の小さい光ネットワークを利用することで大きな消費電力削減効果を得ることが出来ます。3つ目はSDN(Software Defined Networking)技術を利用することで柔軟にフローを制御していることです。消費電力効果をなるべく高めるためにはフローサイズの大きいトラヒックを光回線に流し、小さいフローを電気回線に流すことが大切です。変動するフローサイズに対応し柔軟に電気ネットワーク・光ネットワークを切り替えることによって最大限に消費電力効果を発揮しています。