EVNO

各家庭における太陽光発電やエネファーム等の普及に伴い、分散化されたエネルギー源の管理手法が日本におけるスマートグリッドの大きな課題となっている。現在の電力網は電力会社が自ら発電し自らが保有する送配電システムを使って消費者に電力を供給するシステムであるのに対し、将来の電力網は、散在する複数の発電源と需要家が電力ネットワークとして接続され、複数事業者によって発電電力量と消費電力量がバランスを取って運営されるシステムに移行すると考える。プールの水に例えれば、水面の高さが変わらないように入力量と出力量のバランスをとって制御されることになる。
そこで本研究では通信設備を持たないモバイルサービスの提供者である仮想移動体通信事業者(MVNO)の着想に基づき、既存の電力網を発電システム(会社)と送配電システム(会社)に分離し、消費者と発電者間の需要と供給に基づき、送配電システム上で、特定の複数の発電源、需要家を制御し、送配電コストのみを送配電システム会社に支払うというサービスモデルを提案している。それを、EVNO (Energy Virtual Network Operator)とよび、第三者機関が複数の分散エネルギー源を総合的に管理し仮想的な発電システムを提供する仕組みをオーバレイさせて、各家庭の電力消費予定に基づくスケジューリングや、送電距離を考慮した需給マッチングにより送電ロスを削減することで、実際の需要に基づく地産地象な効率の良いエネルギー送電を実現する。また一人のユーザから見れば、複数の電力会社が仮想的に存在するため、電力取引に市場原理が働くことにより、安価かつ質の良い電力提供や太陽光発電設備やエネファームの普及促進につながる。
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