波長割り当て技術

WDM全光ネットワークでの伝送方式として,通信要求が発生するたびにネットワークの入り口のノードとネットワークの出口のノード間で光パスを設定し,光の領域において波長ルーチングを行う方式(波長ルーチングネットワーク)が提案されている.波長ルーチングネットワークでは,物理的な経路の選択とデータを転送する波長の選択という2段階で波長パスが設定される.波長変換器が存在しない場合,送信ノードから受信ノードまでの全リンクにおいて同一の波長が使用可能でなければならないため(波長連続性制約),波長の利用効率が低下し,また,ブロック率が高くなるという問題がある.一方,波長変換器は非常に高価なデバイスであるため,全ノードに実装するのは現実的でないことから,ネットワークにおける波長変換能力を制限したモデルがいくつか考えられている.そのようなモデルにおいて,ブロック率を低減し,波長の利用効率を向上可能な経路選択及び波長割当方式が考えられている.
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研究紹介

変換範囲が制限された波長変換器を用いたWDMネットワークにおける波長割当方式
波長ルーチングネットワークにおいて,波長変換器を用いることにより,エンド・ツー・エンドで同一波長を用いる必要がなくなり,ブロック率を改善できることが示されている.中でも,低コストで実現可能な変換範囲に制限のある波長変換器を用いた波長ルーチングネットワークが注目されている.変換範囲に制限のある波長変換器を用いた場合,入力波長に対して出力可能な波長に制限があることを考慮した波長割当を行う必要がある.そこで,本研究では,変換範囲に制限のある波長変換器を用いた波長ルーチングネットワークにおいて,接続要求のホップ数を考慮することで低ブロック率を実現しつつ,さらに,波長変換器の個数を削減可能な波長割当方式を提案した.計算機シミュレーションにより,ブロック率及び平均波長変換回数を評価し,ブロック率を劣化させることなく波長変換器を全体の約20%削減できることを示した.
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研究業績

  • 清水 翔, 伊藤 隆範, 荒川 豊, 山中 直明, “変換範囲が制限された波長変換器を用いたWDMネットワークにおける波長割当方式,” 電子情報通信学会技術研究報告, NS2004-312, pp.329-332, March 2005