光スロット交換

近年,光ネットワークの実装において光デバイスの技術不足が問題となっている.特に光スイッチについて,従来では切り替え時間がmsec~μsecオーダーであったため,スイッチの切り替えが帯域利用効率の低下を招いていた.そこで近年,光スイッチの研究が進み,nozomi photonics社により,切り替え時間3nsec以下であるスイッチが開発された.この超高速光スイッチを利用することにより,スイッチ切り替えによる帯域浪費時間(Death Period)を削減できるため,帯域利用効率を向上できる.山中研究室では,PLZT薄膜光導波路型の光スイッチの実験を行い,効率のよいプロトコルを研究・実装中である.
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研究紹介

本研究では,超高速光スイッチを用いて動的パス切り替えを行う光スロット交換(OSS :Optical Slot Switching)を提案する.提案方式では,ネットワーク内の全ノードにおいて同期を取り,全リンクをmsecオーダーの固定時間スロットに分割する.切り替え時間が10nsec以下の超高速光スイッチを用いるため,各ノードでの同期のために必要となるガードタイムを極めて短縮できる.通信要求が発生した送信ノードは双方向波長予約によって次のスロットの波長予約を行い,スロット単位でデータ伝送を行う.提案方式では次のスロットの波長予約を行うことにより,現在のスロットの波長使用状況に依存することなく次のパス設定を行うことが可能になるため,シグナリングやノード処理による遅延時間を無視することができる.シミュレーション評価により,従来の双方向波長予約方式と比較してネットワークの帯域利用効率を改善できることを示した.